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蒸燗

  「蒸し燗」ってご存じでしょうか?私も最初に知ったのは‘正雪を飲む会’を一昨年実施した時、静岡県神沢川酒造の望月社長に教えていただきました。あまり聞きなれませんが、‘湯煎燗’と比べて「口当たりがなめらかになる」「つるりとした感覚が増す」「まるみがあって口当たりが柔らかくなる」など、‘蒸し燗’は優しい味わいになるようです。白隠正宗の静岡県高嶋酒造の高嶋社長が推奨している燗酒ですが、蒸し燗ファンは徐々に増えているようです。 何故まろやかになるか?水蒸気の中で加熱することでアルコール香気成分や旨味成分などが逃げにくい、急加熱でありがちな渋みや焦げ臭の発生が抑えられることが挙げられておりますが、科学的な根拠はまだわかってはおりません。蒸す際に重要なことは、蒸し器内の蒸気が十分満ちてから徳利を入れる、ことです。 官能的な変化は下記のようになりますので、ご興味のある方は是非お試しください。 ( きれいな生酛 ) ぴりぴりした感じがなくなる、酸味や苦味がなくなる、など ( 骨太な日常酒 ) 香りが穏やかになる、マイルドになる、くせがなくなる、飲みやすくなる、など ( 吟醸酒 ) 湯煎と比較して香りが穏やか、甘味が増す、角がとれて優しい味になる、など  

冷酒と燗酒②

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  冷か燗かどちらで飲むべきでしょうか?それを知るには、温度による人の味覚の変化を知る必要があります。実は日本酒そのものの変化はほとんど起こらず、人の味覚が大きく変化します。甘味、酸味は、冷酒 (5-7 ℃ ) から温度上昇によってぬる燗 (40 ℃ ) 近辺で最も強く感じます。熱燗以上 (50 ℃~ ) になると、今度は辛み、苦味、渋みを強く感じるようになります。燗酒でも個々お好きな温度がございますので、この酒はこの温度で飲むべしとは言えないところです。 一般的に人は甘味を好みますので、ぬる燗程度を美味しいと感じる方が多いと思います。吟醸香の強い吟醸酒や特定の酸 ( リンゴ酸など ) を含む無濾過生酒は、冷して旨いといわれております。 それでは燗酒に向くのはどういうお酒でしょう?酸味の多い酒や熟成香の強い酒が一般的に燗に向くと言われます。まずお燗にすることで甘味や旨味が増しますので、気になるところがマスキングされ、特に酸には旨味が含まれることが多いのでより強調されるようです。さらに生酛、山廃系の酒はアミノ酸が多く含まれるので、温めることでキレが出てくるとも言われます。それぞれ下記のような変化があります。 <香り> 強くわかりやすく感じられるが、爽やかさは減少する <酸味> 柔らかくなる。冷酒では フレッシュで爽やかに感じられ、キレがよくなる。 <甘味> 強く感じ引き立つ。熱燗以上の温度では辛みが立つため目立たなくなる <辛み> ぬる燗程度までは、まろやかな印象に。熱燗以上になると逆に強く感じる。 <旨味> ボリューム感が増し、米本来の味が引き立つ。余韻まで旨みが残りやすくなる。冷酒では全体的に感じにくくなり、さっぱりとした印象になる <アルコール> 揮発性が高まり、強く感じる。熱燗以上では、舌にピリッと刺激を感じることも。冷酒では揮発性は低くなるのでシャープな印象に。 次に冷酒に合う酒、燗に合う酒について、酸に着目して考えてみましょう。同じ酸度でも酸の種類によって異なります。 <乳酸、コハク酸> コクや旨味、苦味を出す酸。温旨酸と呼ばれ温めると美味しく感じます <リンゴ酸、クエン酸> 果物のような爽やかさを出す酸。冷旨酸と呼ばれ冷やすと美味しく感じます こう考えると、無濾過生酒...

冷酒と燗酒①

  しずく会では冷酒の注文が圧倒的に多いですが、燗酒がお好きな方も結構いらっしゃいます。我々学生の頃は酒瓶を冷蔵庫に入れる発想はなく、常温か燗でしか飲まなかった。ちょっと古い日本映画やドラマに出てくる小料理屋では、「一本つけてくれ!」「はいよ!」と女将が燗酒をつぐ姿が目に焼き付いている輩も多いことでしょう。名作ドラマ「北の国から」でも、家ではぶらさげて持ってきた一升瓶から直接コップへ、店では徳利とお猪口という光景しか見られない。富良野だからだって。いえいえ全国的にそうだったでしょう。 ちょっと脱線しますが、冷蔵保存しなかった時代は常温のことを「冷や」と呼んでいたようです。従って冷やした酒は「冷酒」ということになりますが、今はあまりこだわることなく、注文のあったときはどちらでも冷やした酒を提供しております。 少し歴史を紐解きます。冷酒が頻繁に飲まれるようになったのは、バブル期の吟醸酒ブームあたりからでなないでしょうか。吟醸酒に加え「越乃寒梅」「八海山」「久保田」「雪中梅」などの新潟県の淡麗辛口の銘酒が人気となり、いい酒は冷酒で飲むという習慣が一般的になったようです。もちろん冷蔵保存や冷蔵輸送が同時に進んだことも重要な要素です。その後、しぼりたてや生など元来蔵でしか飲めなかったお酒が、冷蔵をキープすることで流通し始めたため、冷酒というジャンルが発展したと思います。 今では多くの酒屋さんが大型の冷蔵ショーケースを置いて、品質を保つためにお酒を冷やすのがあたりまえになっておりますが、ニーズも多様化しており、冷で美味しい酒、燗で美味しい酒、は別のカテゴリーととらえる方が良いかもしれません。 冷酒が発展する中で、埼玉県神亀酒造が中心となり、「燗にして美味しい酒こそいい酒」という信念で酒造りに取り組んできた蔵元たちが新しい風を吹き込みます。しずく会で扱っている神奈川県河西屋酒造もその一つです ( 丹沢山秀峰や麗峰など ) 。いい酒は冷やして飲むと言われていた定説は崩れつつあります。日本酒本来の旨さを感じさせる純米、そしてそれを燗酒で飲むスタイルが’体に優しい‘と、酒の味わいを広げる燗酒を好む方が増えております。 最近「ライト燗酒」というジャンルが生まれております。軽やか、爽やか、ふっくら、チャーミング、ゆるゆるとずっと飲んでいられるお気軽な燗酒のようです。それ...

酸度とアミノ酸度

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  前ブログでお話ししたように、 甘辛の感じ方はその目安になると言われている日本酒度だけでなく、アルコール分、酸度や香気成分、 ゴク味やコクと表現される複雑な濃醇味の影響によっても左右されます。  さらに人間の官能は、酒の温度やきき酒の前に食べたものによって感じ方が異なってきます。熱燗、上燗、ぬる燗、あるいは冷やなど飲む際の温度の違いも甘辛の感じ方に影響します。同じ酒でも、甘いものを食べた後には酸っぱく辛いと感じ、酸っぱいものや辛いものを食べた後で飲むと甘く感じたりします。 そういう意味でワインのソムリエと同様の機能が、日本酒にも求められているとかねがね考えています。海外で日本酒が普及した際には、現ソムリエがその役割をになうことになるかもしれません。ただ日本料理店にはソムリエはいないので、接客担当の女将がお酒を勉強するのでしょうか? 味は大変複雑な要因で感じるものなので、ここではシンプルに日本酒タイプを推察するために、前回の‘日本酒度’に加え「酸度」「アミノ酸度」について解説します。 <酸度> 日本酒の酸味は、主に乳酸やコハク酸、リンゴ酸、クエン酸などの有機酸由来のものです。これらの酸の量を数値化したものが「酸度」になります。有機酸は醸造中に作られますが、それぞれの酸の量によって同じ酸度であっても酸味の感じ方は異なります。乳酸が多いと柔らかくふくよかな印象を伴い、コハク酸が多いと旨味や苦味によって濃醇さにつながり、またリンゴ酸やクエン酸が多いと爽やかさに通じます。ただ個々の酸の量はラベルに記載されていないので、総量から判断せざるを得ないのが悩ましいところです。 でも酸度の違いは比較的わかりやすいので、いろいろ試していただければと思います。 一般的には、酸度が 1.0 以下だと柔らかな味わい、 1.5 以上だとしっかりした印象を感じます。また日本酒度が同じ場合、酸度が高いほど辛口に感じます。 <アミノ酸度> 旨味を表す指標と言われておりますが、アミノ酸の種類によって甘味、酸味、苦味を感じるものもあり、単純ではありません。和食で重要な役割の担う‘出汁’の一つであるグルタミン酸もアミノ酸ですね。専門的になりますので、大まかにアミノ酸度が 1.0 を超えると濃醇と表現できる味わいになると覚えておけば良いでしょう。アミノ酸度が高いと濃厚で芳醇で...

辛口の酒②

  現在辛口の指標とされているのが「日本酒度」と呼ばれるものです。 しかし、結論から申し上げると「日本酒度」を甘辛の指標にするのは難しいです。同じような香りや味わいであれば傾向はありますが。もともと日本酒度は蔵元で発酵の進み具合を確認するために使われているものであり、味の指標ではなかったわけです。 さて、ラベルに「辛口」「超辛口」と記載されている酒の日本酒度を見てください。+ 8 、+ 10 、+ 12 、最も高いもので+ 21 というものもあります。多くのお酒が± 0 ~+ 5 ぐらいですが、この数字が大きいほど「辛口」、小さいもの ( マイナス ) が「甘口」ということになっております。お酒は糖分がアルコールに分解されて造られますので、発酵が進むにつれ軽くなります ( アルコールは水より軽い ) 。水を基準に軽くなればなるほど日本酒度は大きく、逆に重くなると小さく ( マイナスの数字が増える ) なるということです。 さて日本酒度が高いと本当に辛いのでしょうか。実は甘辛の指標にできないのが悩ましいところです。日本酒の味わいは、香りや酸味、旨味、コク、後味などが複雑に絡み合ったものです。すでに検証されておりますが、同じ日本酒度でも酸が強いと辛く感じる、フルーティーな香りやカラメル様の香りが強いと甘く感じるということです。またアルコール度が高いと軽くなりますので日本酒度が高くなります。別途解説しますが、酸度、アミノ酸度という指標があり、それぞれ人が感じる甘辛に影響しますので日本酒度単独で判断はできないということです。 こうなると飲んでみなければわからないということになりますが、辛口のお酒の注文があった時は、香りが強くなく、すっきり系のものを選ぶようにしております。しずく会では辛口の酒として、静岡県‘正雪’超辛口純米 ( + 12) 、三重県‘滝自慢’滝水流 ( はやせ ) 辛口一徹純米 ( + 9) 、滋賀県‘北島’玉栄辛口純米酒無濾過生 ( + 13) 、等を提供しております。お客様にはさっぱりしたものか、旨味のあるものか、もお尋ねするようにしております。 日本酒の味覚成分はワインの約 2 倍あり、世界のお酒の中でダントツに多いと言われております。糖分だけでなく酸や香り成分などさまざまなものが美味しさを醸しますので、いろいろと飲んで是非ご自...

辛口の酒①

【2020年4月のブログ】   辛口のお酒をください!との注文をよく受けますが、実は悩ましいリクエストです。お酒は酵母が糖分を分解してアルコールを生成することによって造られますが、糖分がより少ないものが辛口と言われるのが一般的です。 江戸時代に遡ると、兵庫灘の酒は硬水を仕込み水として使うため発酵が進みやすく糖分が少ない辛口の「男酒」、京都伏見の酒は軟水でゆっくり発酵させるため甘口の「女酒」、と呼ばれていたようです。戦中戦後は甘い酒が好まれていたようで、特に戦後物資の足りない時代は、原酒に水を加え嵩を 3 倍まで増やし、味の薄くなったぶん醸造用アルコールと糖類などで味を調整して作られておりました。三倍増醸酒と呼ばれるこの酒を若いころ飲んで二日酔いになった思い出のある方も多いかと思います。まったくひどい酒でした。 この経験から日本酒嫌いになり数十年飲まなかった方が、最近の日本酒を飲んで感動してお帰りになる光景をしばしばお見掛けします。 高度成長期に入り「剣菱」「白鷹」「菊正宗」などが辛口の酒として一躍大ブームとなり、辛口の酒=上質の旨い酒というイメージが出来上がりました。また 80 年代のバブル期に、新潟で五百万石を磨き超軟水の仕込み水で時間をかけて低温発酵させた「淡麗辛口」が流行したことも辛口=美味しいお酒、という印象が根付いたきっかけになったようです。 このような歴史の中で、‘辛口の酒が好き’という方もいらっしゃるかと思いますが、昨今の辛口の酒とはどのようなものでしょうか。長くなりましたので、次回のブログで解説いたします。

ラベル表示の意味 まとめ

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   今回の日本酒ブログのまとめです。ラベル表示を日本酒造りの工程に沿って並べました。それぞれの段階で行われる工夫が、ラベルに表示されていることが一目でわかると思います。手元に置いて、お酒のラベルを眺めながら味わってください。

スパークリング日本酒

  本日も新ジャンルのお酒の紹介です。かれこれ 20 年程前になりますが、宮城県‘一ノ蔵’の「すず音 ( すずね ) 」をいただきましたが、その当時は日本酒らしくないただ飲みやすいお酒とのイメージがございました。実はこの「すず音」が、現在のスパークリング日本酒のパイオニアだったことを最近知ったところです。このお酒は後述する瓶内二次発酵によるシャンパンと同様の作り方をしており、この当時としては革新的であり、もう少しその価値を感じつつ味わえば良かったかと後悔しております。 さて「東京 2020 の乾杯酒は日本酒で!」という志で、「スパークリング日本酒」の開発に多くの蔵が挑戦してきたはずですが、果たして使われるのでしょうか? ご存じの通り、すでにシャンパンのような細かい持続する泡をもつ多くの「スパークリング日本酒」が商品化されております。瓶の形状もほとんどシャンパンのようで、味も酸味の爽やかなもの、甘味のあるもの、そしてアルコール度数も低めのものが多く、日本酒を飲みなれていない方でも楽しめるお酒として普及し始めております。 「スパークリング日本酒」はその製法によって 3 種類に分類されますが、シャンパンのような細かい泡が持続するのは、「瓶内二次発酵タイプ」です。 <活性にごりタイプ> 発酵しているお酒を粗漉しして、そのまま酵母が生きている状態で瓶詰したもの。瓶内で発酵が進んでいるため発泡性となりますが、栓にガス抜きをつけて爆発防止しております。要冷蔵です!間違っても開栓前に振ったりしないようご注意ください。 <瓶内二次発酵タイプ> 一度完成した酒を瓶に入れて醪や酵母、糖を加えて瓶内で発酵させたもの。シャンパンの産地シャンパーニュ ( フランス ) と同様の製法であり、和製シャンパンとも呼ばれる。シャンパンのような繊細な持続する泡を持つものはこのタイプで、優しい口当たりの炭酸が心地よい日本酒となります。 <炭酸ガス注入タイプ> できあがったお酒に炭酸を注入したもの。二次発酵の手間がかからないため、比較的安価なお酒として販売される。一般の炭酸飲料と同様の方法です。発酵とは違う炭酸の刺激が味わえます。 スパークリング日本酒の品質向上と市場拡大を図るため、 2016 年 11 月に蔵元 9 社によって「一般社団法人 awa 酒協会」...

低アルコール原酒

  飲みやすくてしっかりした味わいもある新しいジャンルの日本酒です。原酒とあるように、発酵後水で薄めて低アルコールにしたものではないということです。日本酒はワインと比較しアルコール度数が高いため、苦手な方も多い。日本酒愛好者を増やす努力の一つが「低アルコール原酒」というもので、市場に出ているものは 11 ~ 13 %程度ですのでワインとほぼ同じです。 その味わいは、日本酒とは思えない驚きがあります。ものによっては白ワインと間違えるものも。「キリッとドライな味わい」「軽快で爽やかな口当たり」「果汁のように優しい甘味と酸味」「花のようなフルーティーで甘い味わい」「シュワっと爽快なスパークリング」など、各蔵の発想で多岐にわたります。 低アルコール原酒は飲みやすいだけではなく、その優しい口当たりは食前酒や食中酒として料理に合わせたり、発泡性のものは乾杯酒にも適するなど、今後グローバル化に向かってこの技術はさまざまな用途拡大に発展しそうです。 さて原酒でありながら低アルコールとは、どうやって造るのでしょうか? 通常の酒造りでは、原酒といえばアルコール度 17 ~ 19 %、高いものでは 20 %ぐらいになります。通常これを仕込み水で調整して 15 ~ 16 %として販売することが多く、また一部は原酒として出荷されます。 低アルコール原酒の造り方は 2 通りあるようです。多くは発酵途中 ( 約 15 %ぐらいまで発酵した後 ) で追い水を行い、香りや旨味を生かしたまま低アルコール原酒ができます。 言葉にするのは簡単ですが、実際は造り手の創意工夫が詰まっていると想像します。一方発酵力の弱いワイン用の酵母を使い、追い水をせずに長期低温発酵で時間をかけて吟醸造りをする方法もあるようです。 日々新しい銘柄が開発されておりますので、酒屋さんに行く機会がございましたら是非手に取っていただければと思います。

熟成古酒

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  春に仕込まれたお酒は香味が落ち着くまで貯蔵され、搾りたての荒々しさや角が取れ程よく熟味がのって艶やかな美味しさになり、秋口に「ひやおろし」「秋上がり」として店頭に並びます。一方古酒と言われるお酒は 1 年以上経過したものですが、ワイン、ウイスキー、紹興酒、泡盛、などと異なり、日本酒では熟成酒を楽しむ文化は根付いていないのが現状です。 いくつかの蔵では、 3 年、 5 年、 10 年熟成のお酒を販売しておりますが、需要とのバランスから決して多いとは言えません。最近日本酒専門の酒屋さんとのお付き合いしておりますが、驚くことに冷蔵庫で独自に寝かせているのをよく目にします。研究心旺盛で熱心な酒屋さんに限られますが、生酒でも吟醸酒でも古酒にしてどのように変化するのか、これは大変興味深いものです。まだまだ未知の世界ですね。 さて日本酒の熟成酒の基準はいまだ曖昧ですが、そんななか‘長期熟成酒研究会’によって熟成古酒を「満 3 年以上蔵元で熟成させた、糖類添加酒を除く清酒」と定義されました。ラベルに「熟成酒」「長期熟成」「秘蔵酒」という記載があっても 1,2 年で出荷されているものもあり、どちらかというと「ひやおろし」のような味の調和や円熟味を考慮した商品であることが多く、本来の熟成古酒を分類する意味でこのような定義がなされたようです。 熟成古酒は熟成香と呼ばれる香りと琥珀色ともいえる色が特徴です。熟成香は熟した果実のような香りで、熟成年数が長くなるほど増します。荒々しい味わいだったお酒を熟成することで琥珀色に色づき、香りは甘く濃厚になり、なめらかな口当たりになります。 日本酒サービス研究会ではワイン業界からの意見を取り入れ、新しい日本酒の分類法を提案しております。この 4 つの分類の一つに「熟酒」というカテゴリーがありますが、熟成古酒はこれに該当します。「利き酒師」の資格取得を目指す方は基本となりますので、是非覚えてください。 (薫酒 ( くんしゅ ) )香りの高いタイプ 果実や花のような華やかな香りが高く、軽快で爽やかな味わいが特徴です。甘い風味を感じさせるものから辛口のものまで、さまざまなタイプが存在します。 主に吟醸酒系が該当します。精白度が高く、低温発酵され吟醸酵母を使用したタイプ。 (爽酒 ( そうしゅ ) )軽快でなめらかなタイプ ...

生酛(きもと)・山廃(やまはい)

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最近の「生酛 ( きもと ) 」は実に旨い。今や日本酒は質の時代、原料、造り方など蔵のこだわりが新たな日本酒文化を作りつつあります。生酛や山廃は酸が強くて複雑な味なのであまり好きになれない、という方も結構いらっしゃいます。自然の微生物を取り込むので、複雑な味わいとともに蔵の個性が際立ったものができます。従って味の共通項がなく何となくというイメージでとらえられてケースが多いことでしょう。今や生酛は「重い」「臭い」「飲みにくい」という表現は、あてはまらないと思います。 さて生酛・山廃を理解するには、日本酒造りの工程がイメージできないと難しく、専門的になります。ブログの初日に日本酒造りの工程図を示しましたが、この中に「酒母 ( 酛 ( もと ) とも言う ) 造り」と記載いたしましたが、おそらく覚えている方は少ないとことでしょう。 「酒母造り」とは、酵母を培養する工程で、水・蒸米・酵母・麹を混ぜて行われます。実は酵母は雑菌に弱く酸に強いという特性があり、ここで機能するのが乳酸菌の作る乳酸ということになります。 現在の多くの酒造りは「速醸系」と言われ、醸造用乳酸を直接投入するため、乳酸菌の育成が不要で短い期間で安定した日本酒が得られるようになりましたが、一方で昔ながらの天然乳酸菌や蔵付酵母 ( 蔵に棲みつく酵母 ) を使って、生酛造りにこだわる蔵が増えてきました。 「生酛系」はさらに「生酛」と「山廃」に分かれます。言葉では理解しづらいので、添付の図をご覧ください。このように「酒母 ( 酛 ) 」の造り方の違いにより呼び名が変わってくるということです。 少し歴史を紐解くと、生酛造りは江戸時代に確立された酒造りの方法ですが、乳酸菌や酵母がうまく入らず発酵が止まったり、美味しい酒が造れないなどのリスクも多く、明治後期以降乳酸菌・酵母を添加する安定した酒造り ( 速醸 ) が一般的になっております。ちなみに 2004 年の広島県竹鶴酒造が生酛を復活させたことが、最近のブームのきっかけを作ったようです。この江戸時代の酒造りにあえて挑戦する理由は、蔵付酵母で蔵の個性を出したい、米・水・乳酸菌・酵母などすべてに地のものを使いたい、など風土を生かして醸す味を追求したいという醸造家の思いがあると思います。素晴らしいことです。最近になって生酛が見直されているのは、若い作り手...

ひやおろし・秋上がり

   「ひやおろし」というお酒が 9 月~ 11 月ごろに出回るのをご存じでしょうか。実はこのお酒、冬から春にかけて醸造されたお酒をひと夏貯蔵庫に寝かせ、秋に出荷されるものです。 「ひやおろし」の語源は、「冷や ( 本来は常温のこと ) 」の状態で「卸す」こと、です。実際には醸造されたお酒を貯蔵前に火入れ ( 加熱処理 ) し、夏の間寝かせ、秋になり貯蔵庫の温度と気温が近くなったところで、 2 度目の火入れをせずに出荷いたします。まさに言葉の通り、火入れをしない「冷や」の状態で「卸す」、というところからきております。 江戸時代に生まれた言葉のようで、ゆっくりとした貯蔵により新酒の荒さや苦味がとれ、比較的飲みやすく穏やかな味わいになるのが特徴です。 一方、「秋上がり」という表現もございます。これは同義語かと思っておりましたが、違う意味もあるようです。ひやおろしにより旨味が向上した場合に、あえて「秋上がり」と呼ぶこともあるようです。多くの場合は、ひやおろし=秋上がり、と考えて良いでしょう。

新酒

  秋から冬にかけて新酒が次々と出てくるため、日本酒ファンにとっては楽しい季節です。 新酒とはどういうものを言うのでしょうか。通常秋に収穫された新米で仕込まれたお酒であり、また火入れ ( 加熱処理 ) をしていない生酒、と解釈しておられる方もいらっしゃいます。明確な定義がないので、いずれも正しいのではないでしょうか。 個人的には 11 月~ 4 月ぐらいに造られるものを新酒だろうと考えておりますが、業界では多少異なります。 日本酒には BY(Brewery Year) が定義されております。日本酒業界独自に設定されているもので、 7 月 1 日から翌年 6 月 30 日で区切られます。よくラベルに「 29BY 」のような記載がありますが、これは平成 29 年 7 月 1 日~平成 30 年 6 月 30 日に造られたお酒ということになります。令和になって以降「 2019BY 」というように西暦表示する蔵が増えてきたような気がします。 業界ではこの年度内に造られたものが‘新酒’であり、それ以前が‘古酒’としております。実際は寒造りが基本ですので、新米収穫した後 11 月ぐらいから寒造りが終了する 4 月ぐらいまでが、大多数ではないでしょうか。 さて特に 11 月~ 12 月に出荷されるお酒を「日本酒ヌーボー」と呼ぶことがあります。最近ラベルに記載することが増えてきましたね。ワインではボジョレ ( 地名です ) ヌーボーが有名ですので、わかりやすい表現かと思います。お酒造りは外気や水で冷やす工程が多く、暖かい季節ではなく寒い時期すなわち寒造りというのが常識でした。最近は空調を備える蔵もあり、一年中お酒造りができるようですが、それだけの設備投資ができる蔵はまだまだ多くなく、大半が寒造りしているのが現状です。 新酒はフレッシュで爽やか、微炭酸やおりがらみの酒、というイメージがありますが、しぼりたてで出荷されることが多いまさにこの時期ならではのものです。おり引き・濾過前の上槽したてのお酒が味わえる蔵もあるようですが、いまだそのチャンスに恵まれておりません。一度飲んでみたいものです。

無濾過と生酒

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  ラベルに「純米大吟醸無濾過生原酒」との記載を見て、肩書の多さに思わずそそられる方もいらっしゃるかと思います。濾過も加水も火入れもしない生の酒そのままで、色、香り、味わいなどのインパクトが強く、個性豊かなものが多いですね。 さて濾過、火入れ、加水が常識だった日本酒に革命が起こったのは、 1990 年代中頃と言われます。「十四代」で有名な山形県高木酒造に続き「飛露喜 ( ひろき ) 」で有名な福島県廣木酒造が無濾過生原酒のブレイクさせるきっかけを作ったようです。加工しないすっぴんの酒は、搾りたての槽口を思わせるみずみずしさと、香り、色、味わいの強いインパクトをもたらしました。蔵元杜氏の解禁で広まった側面もあるようです。一方で香りの華やかさや強いボリューム感を「濃すぎる」「飲み疲れする」と嫌う人も少なからずいることも認識せねばならないでしょう。 少し脱線しますが、従来は蔵元=経営者、杜氏=製造責任者、と分業するのがあたりまえでしたが、杜氏の引退などによる蔵存続危機の環境から、一部の蔵では蔵元自身が杜氏にならざるを得なくなったという現実があります。しかしこれによって若い経営者そして作り手が増え、革新的な次世代の酒が次々と生まれてきたとも言えます。 ここでは無濾過、生酒について解説します。冷蔵庫が今日のように普及していない時代は、日本酒は常温でも品質が維持できることが必須でした。そのため劣化や変質を防ぐため「濾過」や「火入れ」が欠かせなかった。つまり無濾過や生酒が飲めるようになったのは、冷蔵保存や冷蔵輸送が可能になった最近だということです。 発酵が終わった後の工程によって「無濾過」や「生酒」が決まります。添付の工程図を参照しながらお読みいただくと理解しやすいかと思います。 発酵終了したものを「醪 ( もろみ ) 」と呼びますが、醪 ( もろみ ) はその後、上槽 ( 原酒と酒粕に分ける工程 ) →おり引き・濾過→火入れ①→貯蔵→調整→火入れ②、を経て完成いたします。上槽では粗く固形分を除いているだけですので、細かいものを除くのが「おり引き」「濾過」ということになります。 <おり引き> タンクを放置し‘おり’を沈降させ、上澄みを引き抜くこと。昨日の図のように、「おりがらみ」などの濁り酒は、あえて‘おり’を混ぜることもあります。 <濾過...

あらばしり/中取り/責め、しずく酒

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  ラベルにしばしば登場する「あらばしり」「中取り ( 中汲み ) 」、これだけで美味しそうなので飲んでみようと心が動きます。いったい何を表しているのでしょうか。これは発酵が終わった醪 ( もろみ ) を原酒と酒粕に分ける「上槽 ( じょうそう ) 」といわれる過程で決まってきます。ちなみに上槽をした段階で酒造法による清酒となります。「どぶろく」は上槽前のものですので、清酒とはなりません。 上槽の方法はいくつかあります。古い方法として「槽 ( ふね ) 」と呼ばれる容器を使う方法、最近の主流は「自動圧搾機」となります。言葉では理解しづらいので、槽しぼりの図を添付しましたのでご覧ください。醪 ( もろみ ) を酒袋に入れ一つずつ容器に並べ、さらに重ねていきます。最初は自重でお酒がしぼり出てきますが、その後は徐々に圧力をかけてしぼります。その際にお酒が出てくるタイミングで呼び名がかわってくるのです。 <あらばしり> しぼりはじめの部分。荒走り、新走りとも呼ばれる。薄く濁っていて若々しく華やかなかおりと、フレッシュ感のある荒々しい味わいを持つ <中取り> 緩やかに圧力をかけて出てくる部分。中汲み、中垂れとも呼ばれる。味わいのバランスがとれている部分で、鑑評会に出品する酒は中取り部分から選ばれることが多い <責め> 圧を強めてしぼった部分。攻め、後取り、押切、とも呼ばれる。より多くの成分が醪中から移動するので、アルコール度数が高く濃淳な味わいとなる <しずく酒> 一方、しずく会の名前の由来である「しずく酒」とはどういうものでしょうか。図を添付しますが、槽や自動圧搾機を使わず、醪 ( もろみ ) の入った酒袋を吊るし、圧力をかけてしぼるのではなく重力でしたたるお酒を一斗瓶で受けたものを言います。「しずく取り」「斗瓶囲い」「斗瓶取り」とも呼ばれます。 手間がかかりますので、限定大吟醸酒などの最高級品のしぼりに用いられております。 *図引用:ナツメ社「日本酒完全バイブル」 2015 年

酒米の系譜

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  酒米の解説で触れましたが、現在普及しているもので最も古い酒米は「雄町」で、 1859 年 ( 安政 6 年 ) ~という記録があり、 山田錦の父親である ( 雄町=渡船 ) というのが通説です。ただ真相は不明とも言われてもおります。  現在酒米として普及している山田錦、五百万石ですが、山田錦が 1923 年 ( 大正 12 年 ) 、五百万石は 1938 年 ( 昭和 13 年 ) 、また美山錦は 1978 年 ( 昭和 53 年 ) ですから、比較的新しい酒米と言えるでしょう。  少しマニアックですが、現在使用されている酒米の系譜を作ってみましたので、参考にしてください。多くの資料をかき集めてまとめたこと、少し古い情報であることから、間違いもあるかもしれませんので、ご了承ください。

清酒酵母

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   「新政の NO.6 飲んだことある?」「ああ 6 号酵母のお酒だよね!」、こんな会話ができると通ですね。 Dancyu の日本酒好き読者アンケートで、ダントツ人気 NO.1 となったお酒なのでご存じの方も多いかと思います。今、あえて蔵付酵母 ( 酒蔵に棲みついている酵母 ) を使うなど、酵母へのこだわりを持った蔵が増えております。 酵母は麹菌が作った糖分を発酵させ、アルコールを生成する重要な役割を担います。 日本酒に限らずワイン、ビールなどのアルコール発酵に必須であり、日本酒では発酵の過程で生成される香りや酸など味わいを決定する大事なものです。 最近は裏ラベルに記載されていることも多いので、是非覗いてください。「協会〇〇号」との記載が多いですが、最近は自社培養酵母や〇〇県酵母など県単位の独自酵母も多く使われ、また東京農大醸造学科では花酵母などが開発されており、酒米と同様日進月歩の発展があります。 協会酵母とは蔵で発見された酵母を、日本醸造協会が純粋培養して販売しているもので、いつでも指定して購入できるため多くの蔵で使用されております。しばしば 9 号系や 901 号との記載を見かけますが、協会では改良品をいくつか持っているためこのような記載になります。後ろに 01 がつくものは「泡なし酵母」のことで、発酵中に発生する多くの泡を抑えられることから、酒造りを改善するために開発されたようです。 酵母選びは、酒米だけでなく仕込み水 ( 軟水か硬水かなど ) との相性も大事なようで、蔵の試行錯誤により品質の高い新たなお酒が次々と出現しております。以下に特に有名な三大酵母、 6 号、 7 号、 9 号について簡単に記載しましたので、参考にしてください。 ( 6 号酵母) 秋田県新政酒造で発見された現存する最古の酵母で、新政酵母と呼ばれる。最近新政酒造では、協会酵母ではなく元来の蔵付酵母を使って酒造りを始めている。新政で有名な NO.6 とはこの 6 号から命名されたものである。 ( 7 号酵母) 長野県宮坂醸造 ( 真澄 ) で発見された酵母で、真澄酵母と呼ばれる。 ( 9 号酵母) 熊本県酒造研究所 ( 香露 ) で発見された酵母で、熊本酵母と呼ばれる。特に山田錦と 9 号酵母で作られる吟醸酒は香りの高い質の良い...

酒米

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  お酒を選ぶ際に、使われているお米を基準にすることがしばしばあります。「山田錦」や「五百万石」は良くお聞きになると思いますが、ご存じの通り生産量 1 , 2 位の酒米で、この 2 品種だけで全体の 60 %を占め、美山錦、雄町がこれに続きます。  現在酒米は 100 種類以上あり 2010 年代に入っても続々と開発されております。各都道府県で栽培されている酒米を一覧表にしましたので参考にしてください。 酒米は正式には「酒造好適米」と言い食べるお米と異なり、次のような特性があります。 <米粒が大きい> 大粒で均一であるほど、高精米しても割れにくい <心拍が大きい> 心拍はでんぷん質が集中しており、効率よくタンパク質などの雑味を除去できる <タンパク質が少ない> 雑味の要因となるため、少ない方が酒質の調整が容易となる <吸水性が良い>  蒸米の内側が柔らかくなり、麹菌が繁殖しやすい <醪 ( もろみ ) に溶けやすい>  発酵が効率よく進む  山口県の「獺祭」で使われることで有名な山田錦ですが、 2014 年頃から吟醸酒用として飛躍的に伸びます。その理由は心白形状が一文字線状であることにあります。心白は線状、楕円、球形、菊花状などがありますが、高精白するには線状が適しており、楕円や球形だと精白時に米が砕けやすいからです。現在心白の形に合わせて精米できる技術が開発されているようですので、さまざまな米で高精白が可能になっているかもしれません。大吟醸ブームの起こった 1990 年頃に、日本酒鑑評会で金賞が取れるのは YK35 と言われていたようです (Y :山田錦、 K : 9 号酵母、 35 :精米度 35 %、の意味です ) 。いまだに YK は使われますので覚えていただければと思います。  五百万石は実は 2001 年に山田錦に抜かれるまでは 40 年間作付けトップの座にありました。新潟県を中心に広く使われておりますが、心白が球状のため 50 %以上の高精白はできないが、淡麗できれいな酒質になります。  さて新しい酒米は主に品種の掛け合わせで開発されますが、現在普及しているもので最も古いのは「雄町」で 1866 年~という記録があります。実は山田錦の父親が雄町 ( =渡船 ) だというのが通説ですが、真相は不...

磨かないお酒(低精白酒)

  昨日は吟醸酒の解説をしましたので、本日は逆の磨かない ( 低精白 ) お酒の話です。この磨かない酒がここ数年で評価が高まっており、しずく会でもしばしば仕入れております。  そもそも酒造りで米を磨くのは、お米の表面には脂質や蛋白質が多く含まれるため、磨かずに仕込むと香りにクセが出て、雑味が出る、という理由です。吟醸酒がきれいな酒として好まれるのは、このような雑味が取り除かれているところにあります。 近年精米度 75 %、 80 %、 90 %という低精白のお酒が増えてきており、「低精白酒」という新ジャンルとして注目されております。お米を磨かないので生産性の高いお酒とも言えますが、磨かずに綺麗な味を実現できるのはズバリ良いお米を使うことです。「良い米はあまり磨く必要がない」「雑味と呼ばれるものは米そのものの旨味である」、というのが作り手の考えです。 一般的に過剰な雑味は化成肥料や動物性肥料が原因と言われ、蔵では無農薬、無化学肥料による栽培に積極的に取り組んできました。また洗米機の技術革新等も大きく寄与し、低精白でも美味しい酒造りが可能になりました。蔵自ら自社田を持つなど米栽培を主導することも多く、蔵の姿勢と力量そして技術の進歩が成し遂げたと言えるでしょう。 自分でも飲んだ品種は少ないのですが、とにかく旨味もしっかりなのに爽やかで後味のキレもいいという驚きの味です。是非お試しを!!

純米酒と吟醸酒

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 最近は 吟醸酒より純米酒の方が好きだ、という方が増えておりますが、ときたま間違った定義で解釈している方がいらっしゃいますので、あらためて解説致します。  吟醸や大吟醸はお米を高精米したもの、純米は醸造用アルコールを添加していないもの、になります。添付のマップがわかりやすいのでご覧ください。 お米の精米度 ( 精米歩合 ) は酒造りの最初の段階で決まるのに対し、醸造用アルコールは発酵完了後の調整で使われるものですので、酒造り工程の最初と最後、まったく異なる定義ですね。 (純米酒系)純米大吟醸、純米吟醸、純米 (本醸造系)大吟醸、吟醸、本醸造 の分類になります。アルコールを添加したお酒を嫌う方もいらっしゃいますが、バランスのとれたお酒も多いです。個人的には純米酒系の方が好きなので、お店ではすべて純米酒系を揃えております。 よく間違えられますが、精米度 ( 精米歩合 )60 %とはお米が 60 %になるまで磨いたもの、すなわち 40 %分が削られたという意味です。精米度の数字が小さいほど沢山磨いていることになります。 精米度は60%以下であっても「特別純米」と表記されたものもあります。蔵の判断で自由に表記できるようですが、吟醸香の少ないものが多いような気がします。この判断基準はよくわかりませんので、一度蔵にお尋ねしてみようかと思います。 最近は吟醸と逆に磨かない ( 精米度 80 %、 90 % ) 旨味のあるお酒も増えております。これについては別途解説しますが、低精白酒の質が日進月歩で良くなっております。

日本酒の造り方

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  【日本酒の造り方】 ‘ Dancyu ’ 3 月号の特集が「原点回帰の日本酒」だと記憶している方も多いかと思います。「生酛」「山廃」、「無濾過生原酒」など難しい言葉が並びますが、結局日本酒の造り方がある程度イメージできないと内容も頭に入らないのが現状でしょう。 初回からハードルが高くなりますが、是非繰り返し資料をご覧いただき、大まかな生産プロセスを常に頭に入れていただくことで、ラベルに表示されるさまざまな言葉が理解できるようになります。 ワインのラベル表示に比べ日本酒のラベル表示は複雑です。それは日本酒造りの工程が複雑難解で、それぞれのプロセスの違いによるラベル表示がしばしばなされるためです。今回はお酒造りの工程を紹介するのが目的ですので、それぞれの言葉の詳細は後日あらためて解説します。まずはラベル表示を工程図を見つつ読んでいただければと思います。 〖 ワインの主要なラベル表示 〗(参考) < ワイナリー名 >  ボルドーの 5 大シャトーなどの有名どころを覚えておくと、少し自慢できるかも。でも高価手が出せない < 生産地 > グレードにかかわるので大事な情報です。詳細を知りたい方は別途調べてください < 原産地呼称 > 詳細を知りたい方は別途調べてください < ブドウ品種 > フランスなどでは生産地でブドウ品種が決まってしますので、記載しないことも多い < 生産年 > ブドウの質が毎年違う、また熟成の価値が高いので、極めて重要な情報 < 生産者 > 造った人物なども記載することがある < アルコール度数 > 12 ~ 14 %が多いが、ドイツワインなどは 10 %以下 < 容量 > 日本酒でいう四合瓶程度のサイズがほとんど 〖 日本酒の主要なラベル表示 〗 < ブランド名 > 同じ蔵で複数のブランド名を持つこともあるので、複雑 < 生産地 > 都道府県市町村なので日本人には馴染みがあることでしょう < 酒米 > 毎年新しい品種が発表されており 100 種類以上ある。麹米、掛け米があり、それぞれ違うお米を使うこともあるので複雑 < 精米歩合 > お米の磨き歩合。残るお米の量を示す。 40 %との記載は 6 割削り、残りの 4 割を使ったということ ...