錫(すず)のちろり
まず「ちろり」についてご説明します。ご存じの方も多いとは思いますが、日本酒を温めるときに使われる、取手と注ぎ口のついた円筒形の容器のことです。通常お湯につけて温めるため、アルミや銅またはステンレスなどの金属で作られております。その語源は諸説あるようで、①囲炉裏に埋めて日本酒を温めていたことから「地炉裏 ( ちろり ) 」となった、②ちろりと短時間でお燗ができるので「ちろり」と呼ばれた、③注ぎ口から燗酒が注がれる時に出る音から名づけられた、④酒好きが待ちきれずに舌をちろりと出したという説、などさまざまです。 さて本題に入ります。この「ちろり」に使われる金属素材によって、お酒が美味しくなるのをご存じでしょうか。そうです、錫 ( すず ) で作られた「ちろり」でお酒を飲むと美味しくなるのです!実は「ちろり」だけではなく、錫製のお猪口でも美味しくなるようで、錫製のマイお猪口を持参なさるお客様もいらっしゃるほどです。 錫 ( すず ) 製の「ちろり」を使うと、なぜお酒が美味しくなるのか、錫という金属の性質を紐解きましょう。 【錫の特徴】 (イオン効果) 錫のイオンにより雑菌の繁殖が抑えられます。酒器の場合、雑味を取り除きまろやかな味わいになるようです。これはワインでも効果があるらしい。古来中国では水を浄化するために井戸の底に錫を沈めていたとされております。 (触媒効果) アルコール発酵の際に生成される副産物である「フーゼル油」を、溶かす機能がある。この「フーゼル油」は日本酒やウイスキーに多く含まれており、癖のある匂いで水に溶けにくいため味がべたついた感じになります。ごく少量しか含まれていないので気づきにくいですが、錫の器を使うと「フーゼル油」を溶かすので味がまろかやになります。 (熱伝導率が高い) 温める場合ですが、時間をかけるとアルコール分が飛んで旨味が低下します。錫は素早く温度が上がるのでこれを防ぐことができます。 また例によって専門的になってしまいましたが、日本では古来から「錫の器に注いだ水は腐らない」とされ、錫のお神酒徳利が神社仏閣で使われてきたことから、今でも宮中ではお酒そのものが「おすず」と呼ばれることがあるそうです。 しずく会にも錫の「ちろり」を常備して、お待ちしております!