酒米

 お酒を選ぶ際に、使われているお米を基準にすることがしばしばあります。「山田錦」や「五百万石」は良くお聞きになると思いますが、ご存じの通り生産量12位の酒米で、この2品種だけで全体の60%を占め、美山錦、雄町がこれに続きます。

 現在酒米は100種類以上あり2010年代に入っても続々と開発されております。各都道府県で栽培されている酒米を一覧表にしましたので参考にしてください。

酒米は正式には「酒造好適米」と言い食べるお米と異なり、次のような特性があります。

<米粒が大きい>

大粒で均一であるほど、高精米しても割れにくい

<心拍が大きい>

心拍はでんぷん質が集中しており、効率よくタンパク質などの雑味を除去できる

<タンパク質が少ない>

雑味の要因となるため、少ない方が酒質の調整が容易となる

<吸水性が良い>

 蒸米の内側が柔らかくなり、麹菌が繁殖しやすい

<醪(もろみ)に溶けやすい>

 発酵が効率よく進む

 山口県の「獺祭」で使われることで有名な山田錦ですが、2014年頃から吟醸酒用として飛躍的に伸びます。その理由は心白形状が一文字線状であることにあります。心白は線状、楕円、球形、菊花状などがありますが、高精白するには線状が適しており、楕円や球形だと精白時に米が砕けやすいからです。現在心白の形に合わせて精米できる技術が開発されているようですので、さまざまな米で高精白が可能になっているかもしれません。大吟醸ブームの起こった1990年頃に、日本酒鑑評会で金賞が取れるのはYK35と言われていたようです(Y:山田錦、K9号酵母、35:精米度35%、の意味です)。いまだにYKは使われますので覚えていただければと思います。

 五百万石は実は2001年に山田錦に抜かれるまでは40年間作付けトップの座にありました。新潟県を中心に広く使われておりますが、心白が球状のため50%以上の高精白はできないが、淡麗できれいな酒質になります。

 さて新しい酒米は主に品種の掛け合わせで開発されますが、現在普及しているもので最も古いのは「雄町」で1866年~という記録があります。実は山田錦の父親が雄町(=渡船)だというのが通説ですが、真相は不明とも言われております。岡山県が発祥で、オマチストと呼ばれる雄町好きも大勢いらっしゃいます。原料米の違いが味に出にくい日本酒ですが、オマチストは明らかに雄町の味は違うと言います。特徴はふくよかさ。「まるみのあるボディーと余韻の長さ」に加え「複雑な味わい」ということですが、私はまだまだその域には届きませんね。

 また漫画‘夏子の酒’で一躍有名になったのが「亀の尾」(1893年~)です。冷害の年に3本だけ実った穂を発見、育成されたまぼろしの米と言われている。少量ながら山形県を中心に生産され、今では再び見直されている。

 米は基本的に産地から輸送して使用しますが、最近はドメーヌ化(米栽培~醸造を一貫して蔵元が行うこと)をめざす蔵元も出てきており、自社田で栽培する、あるいは地元の契約農家と共同栽培することも徐々に始まっております。有機栽培の酒米を使った低精白酒など、技術の幅は確実に広がり始めております。




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