冷酒と燗酒①

 しずく会では冷酒の注文が圧倒的に多いですが、燗酒がお好きな方も結構いらっしゃいます。我々学生の頃は酒瓶を冷蔵庫に入れる発想はなく、常温か燗でしか飲まなかった。ちょっと古い日本映画やドラマに出てくる小料理屋では、「一本つけてくれ!」「はいよ!」と女将が燗酒をつぐ姿が目に焼き付いている輩も多いことでしょう。名作ドラマ「北の国から」でも、家ではぶらさげて持ってきた一升瓶から直接コップへ、店では徳利とお猪口という光景しか見られない。富良野だからだって。いえいえ全国的にそうだったでしょう。

ちょっと脱線しますが、冷蔵保存しなかった時代は常温のことを「冷や」と呼んでいたようです。従って冷やした酒は「冷酒」ということになりますが、今はあまりこだわることなく、注文のあったときはどちらでも冷やした酒を提供しております。

少し歴史を紐解きます。冷酒が頻繁に飲まれるようになったのは、バブル期の吟醸酒ブームあたりからでなないでしょうか。吟醸酒に加え「越乃寒梅」「八海山」「久保田」「雪中梅」などの新潟県の淡麗辛口の銘酒が人気となり、いい酒は冷酒で飲むという習慣が一般的になったようです。もちろん冷蔵保存や冷蔵輸送が同時に進んだことも重要な要素です。その後、しぼりたてや生など元来蔵でしか飲めなかったお酒が、冷蔵をキープすることで流通し始めたため、冷酒というジャンルが発展したと思います。

今では多くの酒屋さんが大型の冷蔵ショーケースを置いて、品質を保つためにお酒を冷やすのがあたりまえになっておりますが、ニーズも多様化しており、冷で美味しい酒、燗で美味しい酒、は別のカテゴリーととらえる方が良いかもしれません。

冷酒が発展する中で、埼玉県神亀酒造が中心となり、「燗にして美味しい酒こそいい酒」という信念で酒造りに取り組んできた蔵元たちが新しい風を吹き込みます。しずく会で扱っている神奈川県河西屋酒造もその一つです(丹沢山秀峰や麗峰など)。いい酒は冷やして飲むと言われていた定説は崩れつつあります。日本酒本来の旨さを感じさせる純米、そしてそれを燗酒で飲むスタイルが’体に優しい‘と、酒の味わいを広げる燗酒を好む方が増えております。

最近「ライト燗酒」というジャンルが生まれております。軽やか、爽やか、ふっくら、チャーミング、ゆるゆるとずっと飲んでいられるお気軽な燗酒のようです。それに対して従来のカテゴリーに属するのが「ストロング燗酒」でしょうか。

さて冷酒か燗酒かどちらで飲むべきでしょうか?この話は次回にいたします。

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